悪役幼女だったはずが、最強パパに溺愛されています!

初めてリシュタルトに会った日から、ナタリアは不思議とよく彼を見かけるようになった。

従者たちを引き連れて離宮の近くを歩いていたり、離宮の近くでロイの散歩をしていたり。

リシュタルトを乗せた馬車が城外から帰ってくるのにも、何度も出くわした。

ただし、彼はナタリアとすれ違っても話しかけてはこない。ちらりと一瞥するだけだ。

だが、ロイの散歩中は違った。

リシュタルトと散歩中でも、ロイはナタリアを見つけるなり主人をその場に残し、まっしぐらにナタリアのもとへと駆けてくる。

そしてナタリアの小さな体に馬乗りになり、尻尾をしきりに振りながら、ペロペロと顔中を舐め回してくるのだ。

初めに飛び掛かられたときは驚いたが、二度目からはナタリアにも余裕ができた。

くすぐったくてきゃっきゃと笑っていると、リシュタルトは毎回、そんなナタリアを遠くからじっと見つめていた。

そんなとき彼は相変わらず無表情なのだが、不快そうな様子はなく――。

(少なくとも、前より嫌われたってことはなさそうね)

ナタリアはとりあえず、いいように解釈することにした。