木の匂い、草の匂い、水の匂い、土の匂い。
今はもうはるか遠い世界のものになったはずの嗅覚が、思い出したように身に舞い戻る。
自分はもう、獣人ではないはずなのに。
(俺にもまだ、獣人の感覚が残されていたのか)
知らず知らず、クライドのバイオレットの瞳から涙が零れ落ちていた。
自分が今何のために、三日もこの場所に潜んでいたのかは、もはやどうでもよくなっていた。
獣人でも人間でもない中途半端な自分を呪うことも、もうなかった。
彼女に出会ったクライドにとって、そういった感情はすべて不要になったのだ。
――彼女が欲しい。守りたい。
そのこと以外は、もう考えられない。
感じたことのない充実感が全身を駆け巡り、感動で全身が震える。
今はもうはるか遠い世界のものになったはずの嗅覚が、思い出したように身に舞い戻る。
自分はもう、獣人ではないはずなのに。
(俺にもまだ、獣人の感覚が残されていたのか)
知らず知らず、クライドのバイオレットの瞳から涙が零れ落ちていた。
自分が今何のために、三日もこの場所に潜んでいたのかは、もはやどうでもよくなっていた。
獣人でも人間でもない中途半端な自分を呪うことも、もうなかった。
彼女に出会ったクライドにとって、そういった感情はすべて不要になったのだ。
――彼女が欲しい。守りたい。
そのこと以外は、もう考えられない。
感じたことのない充実感が全身を駆け巡り、感動で全身が震える。



