そのときだった。
――ズサッ。
茂みのすぐ向こうから、物音がした。
我に返ったクライドは、銃口を下げ、茂みの向こうを注視する。
リシュタルトの侍従が現れたのかと思ったが、見えたのは、想像していたよりもはるかに小さな身体だった。
「ふえっ、ううっ……」
どうやら、女の赤ん坊のようだ。
真っ白なロンパース姿で、土の上に突っ伏し、今にも泣きそうになっている。
うるうると潤んだ大きなヘーゼルの瞳。
淡雪のように白い肌に、咲きたての野花のように初々しい薄桃色の唇。
まるで朝焼けの空のように、朱に染まったもちもちの頬。
その瞬間、クライドは、鋭利な槍で全身を貫かれたような衝撃を覚えた。
自分の身体が真っ二つに割れ、無になり、そして一からすべてが構築されていくような感覚だった。
死を思い描くほど心臓は鼓動を速め、全身の血流が、嵐のごとくドクドクと乱れ打つ。
「あぶ?」
赤ん坊は、遠くの方を見つめ、なぜか凍り付いたように身の動きを止めている。
彼女の瞬きのひとつひとつ、かすかな喉元の動きにすら、目を離せない。
――すべてが愛しくて尊い。
そう思った瞬間に、感じたことのない歓びが、クライドの内に沸いていた。
――ズサッ。
茂みのすぐ向こうから、物音がした。
我に返ったクライドは、銃口を下げ、茂みの向こうを注視する。
リシュタルトの侍従が現れたのかと思ったが、見えたのは、想像していたよりもはるかに小さな身体だった。
「ふえっ、ううっ……」
どうやら、女の赤ん坊のようだ。
真っ白なロンパース姿で、土の上に突っ伏し、今にも泣きそうになっている。
うるうると潤んだ大きなヘーゼルの瞳。
淡雪のように白い肌に、咲きたての野花のように初々しい薄桃色の唇。
まるで朝焼けの空のように、朱に染まったもちもちの頬。
その瞬間、クライドは、鋭利な槍で全身を貫かれたような衝撃を覚えた。
自分の身体が真っ二つに割れ、無になり、そして一からすべてが構築されていくような感覚だった。
死を思い描くほど心臓は鼓動を速め、全身の血流が、嵐のごとくドクドクと乱れ打つ。
「あぶ?」
赤ん坊は、遠くの方を見つめ、なぜか凍り付いたように身の動きを止めている。
彼女の瞬きのひとつひとつ、かすかな喉元の動きにすら、目を離せない。
――すべてが愛しくて尊い。
そう思った瞬間に、感じたことのない歓びが、クライドの内に沸いていた。



