それから毎日のように、ナタリアはレオンとギルと一緒に、城の敷地内を散歩するようになった。
広大な敷地には、本宮を中心として、四方を取り囲むように建築物が立ち並んでいる。
図書室、講堂、教会、診療所、騎士団の訓練所に宿泊所、使用人の住まう館など、施設が充実していて、まるでひとつの街のようだ。
敷地内とはいえ馬車で移動するほど広く、美しく整備された庭園や森もそこかしこに点在している。
ちなみにナタリアの住まう離宮は、もっとも外れにあった。
レオンに馬車に乗せてもらったり、エルダとアビーに甘いお菓子を用意してもらって芝生広場で食べたり、ギルにさまざまな花の名前を教えてもらったり、ナタリアは散歩の時間を存分に満喫した。
城で働く獣人や人間たちは、最初ナタリアを見たとき、戸惑いの表情を浮かべた。皇帝リシュタルトに嫌われている、噂の忌み姫だからである。
だが次第に、誰もが愛らしいナタリアの笑顔や仕草に夢中になっていく。
とりわけ美しい兄妹が仲睦まじく手を繋いで歩いている姿は魅力的で、皆が仕事の手を止めてふたりを眺めたがった。
一方で、ナタリアがリシュタルトに出くわすことは一度もなかった。
もしかすると、わざと避けられているのかもしれない。
(相当な嫌われようね。本当にうまくいくかしら?)
不満を募らせながらも時が流れ、気づけばナタリアは三歳を過ぎていた。
その頃のナタリアは、五歳児並みの会話ができるようになっていた。
ギルのおかげで知識も豊かになり、舌足らずの愛らしい口調で一丁前に会話する姿は、たまらない愛らしさだった。
レオンのデレ具合も日に日に増している。
そしてついに、ナタリアが待ち望んだその日がやってきたのである。
広大な敷地には、本宮を中心として、四方を取り囲むように建築物が立ち並んでいる。
図書室、講堂、教会、診療所、騎士団の訓練所に宿泊所、使用人の住まう館など、施設が充実していて、まるでひとつの街のようだ。
敷地内とはいえ馬車で移動するほど広く、美しく整備された庭園や森もそこかしこに点在している。
ちなみにナタリアの住まう離宮は、もっとも外れにあった。
レオンに馬車に乗せてもらったり、エルダとアビーに甘いお菓子を用意してもらって芝生広場で食べたり、ギルにさまざまな花の名前を教えてもらったり、ナタリアは散歩の時間を存分に満喫した。
城で働く獣人や人間たちは、最初ナタリアを見たとき、戸惑いの表情を浮かべた。皇帝リシュタルトに嫌われている、噂の忌み姫だからである。
だが次第に、誰もが愛らしいナタリアの笑顔や仕草に夢中になっていく。
とりわけ美しい兄妹が仲睦まじく手を繋いで歩いている姿は魅力的で、皆が仕事の手を止めてふたりを眺めたがった。
一方で、ナタリアがリシュタルトに出くわすことは一度もなかった。
もしかすると、わざと避けられているのかもしれない。
(相当な嫌われようね。本当にうまくいくかしら?)
不満を募らせながらも時が流れ、気づけばナタリアは三歳を過ぎていた。
その頃のナタリアは、五歳児並みの会話ができるようになっていた。
ギルのおかげで知識も豊かになり、舌足らずの愛らしい口調で一丁前に会話する姿は、たまらない愛らしさだった。
レオンのデレ具合も日に日に増している。
そしてついに、ナタリアが待ち望んだその日がやってきたのである。



