悪役幼女だったはずが、最強パパに溺愛されています!

だがレオンとしては、ナタリアがギルに懐くのが面白くないらしい。

まだ子供とはいえ、彼はこの国の王子。馬術に剣術、言語に算数に歴史など、一日の大半は教養スケジュールで埋まっていた。

ギルに比べると、一緒にいられる時間は限られている。

「お前は来なくていいよ。僕がついているんだから」

「ですが、レオン様もまだお子様ですし心配です」

「な……っ! 子ども扱いするな!」

プライドを傷つけられたレオンは、真っ赤になって憤慨した。

一方のギルは、ニコニコ笑顔を崩さない。

(ギルって、きっと敵に回したら怖いタイプよね)

どういう伝手でエルダとアビーが彼を見つけてきたのか知らないが、ときどき只者ではないオーラを感じる。

大国の王子が声を荒げようと、まったく怯む気配のないギルを前に、レオンは言葉を詰まらせた。

「……まあいい、好きにしろっ!」

ナタリアを抱いて、逃げるように離宮を出るレオン。