ナタリアは、震えながら体を起こした。
今度こそダメだと思ったのに、死んでいないなど奇跡のようだ。
恐る恐る後ろを振り返ると、階段に通じる入口に立つ、銀色の狼と目が合った。
獣化したリシュタルトによく似た、神々しいまでに美しい毛並みを持つ立派な狼だ。
ぼんやりと突如現れた銀の狼を眺めていると、ふいに狼がこちらを見た。
ナタリアをまっすぐに見つめる、奥深いバイオレットの瞳。
その眼差しに、ナタリアは充分すぎるほど覚えがあった。
十年以上、毎日のように間近でその目を見てきた。
あるときは部屋の勉強机で、あるときは城の庭園で。
こっそり抜け出して通った港町の食堂でも、毎回その目に守られてきた。
(――ギル? まさか、ギルが獣化してるの? でもそんなことあり得ない、ギルは人間だもの。でもあの目は間違いなくギルだわ)
ナタリアが混乱していると、「おおおっ」という雄たけびに似た歓喜の声がした。
ダスティンが銃を投げ捨て、床に両手をつき、ひれ伏しながら銀の狼を崇めている。
今度こそダメだと思ったのに、死んでいないなど奇跡のようだ。
恐る恐る後ろを振り返ると、階段に通じる入口に立つ、銀色の狼と目が合った。
獣化したリシュタルトによく似た、神々しいまでに美しい毛並みを持つ立派な狼だ。
ぼんやりと突如現れた銀の狼を眺めていると、ふいに狼がこちらを見た。
ナタリアをまっすぐに見つめる、奥深いバイオレットの瞳。
その眼差しに、ナタリアは充分すぎるほど覚えがあった。
十年以上、毎日のように間近でその目を見てきた。
あるときは部屋の勉強机で、あるときは城の庭園で。
こっそり抜け出して通った港町の食堂でも、毎回その目に守られてきた。
(――ギル? まさか、ギルが獣化してるの? でもそんなことあり得ない、ギルは人間だもの。でもあの目は間違いなくギルだわ)
ナタリアが混乱していると、「おおおっ」という雄たけびに似た歓喜の声がした。
ダスティンが銃を投げ捨て、床に両手をつき、ひれ伏しながら銀の狼を崇めている。



