悪役幼女だったはずが、最強パパに溺愛されています!

「次はお前たちだ」

ダスティンが、今度はこちらに銃口を向けた。

ダスティンの指先が、ゆっくりと銃の引き金を引く――。

「やめて――っ!」

ナタリアは、無我夢中でリシュタルトに覆いかぶさろうとした。

(どうか間に合って!)

愛する父親の死は、自分の死よりも耐え難い。

「お父様、大好きよ……」

「ナタリア、来るな……っ!」

リシュタルトの悲鳴のような声が、父親への愛を囁くナタリアの声に重なった。

「ウォォオオン!」

そのとき、けたたましい狼の咆哮が、殺伐とした部屋中を揺るがした。

ユキのものではなく、今は獣化していないリシュタルトのものでもない、別の咆哮。

――バンッ!

ほぼ同時に響き渡った銃声。

だが狼の咆哮で気が逸れたのか、ダスティンの銃はリシュタルトの脇をすり抜け、後方の壁に当たる。

標的を捉えることができなかった銃弾が、コロコロと音を響かせながら床に転がった。