悪役幼女だったはずが、最強パパに溺愛されています!

ナタリアの口から懇願のような言葉がこぼれ出たとき、ユキの耳がピクッと揺れた。

まるで潮が引いていくように、もとの黒目に戻っていく。

剥き出されていた牙が引っ込んで、攻撃的な低姿勢が崩れていった。

「ユキ……?」

「クウン」

ナタリアの声にこたえるように、ユキが尻尾をパタパタと振った。

そしていつものようにナタリアにすり寄ると、大きな舌でぺろりと頬を舐める。

いつも通りの、優しいユキだった。

「ユキ、もとに戻ったの……?」

「クウン、クウン」

何事もなかったかのように、ナタリアの頬を舐め続けるユキ。

その様子を見ていたダスティンが、忌々しげに舌打ちをした。

「くそっ、両方撃ち抜いてやる!」

銃が、まっすぐナタリアとユキに向けられる。