悪役幼女だったはずが、最強パパに溺愛されています!

獰猛化したレオンを救おうとした時とは違う。

長年自分が学んできたことを無駄にしたくないという思いは微塵もなかった。

ただ純粋に、ユキを助けたい。――その気持ちだけ。

獣操の力を振り絞っているナタリアを、ダスティンはさも面白そうに見物している。

真っ赤に染まったユキの目を、ナタリアは一心に見つめ続けた。

集中するあまり、額には汗がにじみ、呼吸も細切れになる。

白くてフカフカの、ナタリアの大親友。

大好物のチーズを食べるときは尻尾が小刻みに動くことも、「グフッ」とかわいい寝言をときどき言うことも全部知っている。

ユキだって、本当はナタリアを襲いたくないのは充分わかっているのだ。

ナタリアとユキは、種族を超えてお互いを信頼している友達同士だから。

絶対に、絶対にこの唯一無二の友達を救ってみせる――。

「ユキ、いつものあなたに戻って――」