悪役幼女だったはずが、最強パパに溺愛されています!

――ところが。

「ドラドよ、あの者に襲い掛かれ!」

突然降ってきた野太い声が、空気を揺るがした。

いつの間にかユキの後ろには、顎髭の生えた痩せた老人がいた。

血走った眼を見開き、針のような鋭いものを中空に掲げている。

(ダスティン!)

以前に見た紳士的な容貌からは様変わりしていたが、それは間違いなくダスティンだった。

ナタリアがハッと息を呑んだときにはもう、針はユキの背中に向けて振り下ろされていた。

「キャウン!」とユキが悲痛な声を上げる。