悪役幼女だったはずが、最強パパに溺愛されています!

イサクが言うように、村はもぬけの殻だった。

怖いくらいに静まり返っていて、ときどき山の方から聞こえる鳥の声がやけに響く。

ナタリアたちは、ひとまず家を一軒一軒調べ、地下に通ずる扉のようなものがないか調べることにした。

だがあったとしても貯蔵庫として活用されているものばかりで、アジトにされているような雰囲気はない。

地下のさらに奥に通ずるドアがないか調べたりもしたが、どこにも見つからなかった。

家々をくまなく調べた一行は、スタート地点の宿屋に戻る。

そこは以前トプテ村に滞在した際に、ナタリアとリシュタルトが宿泊した場所だった。

いつしか日は落ち、空には星が瞬いている。

「おい、ナタリア。その予知夢とやら、今度ばかりはずれなんじゃねえか? 地下のアジトなんか見つからないじゃねえか」

玄関ホールにある丸絨毯の上にドカッと座り、イサクが苦笑する。

ユキも疲れたようで、ナタリアの足元に寝そべりながらあくびをしていた。

「そのはずはないわ。たしかにどこかにダスティンが潜んでるの」

どこにあったか、詳細を覚えていないのが悔やまれる。