「以前聞いた話ですが、異母弟は政権争いの戦で敗北したあと、皇帝陛下側の幹部に捕らえられひどい拷問にあったそうですよ。殺される寸前に逃げ出したらしいですが」
「な、どうしてそんな……! だって彼はそのときまだ四歳か五歳でしょ? 皇帝にと推し進めたのは政権を操りたかった大人たちで、彼にはなんの意思もなかったのに」
むごい話に、ナタリアは震えた。
年端もいかない子供に拷問だなんて、想像しただけで吐き気がする。
「ええ、そうですね。ですがそれが戦争というものですよ。そして、オルバンス帝国の王室に生まれてしまった彼の宿命だったのでしょう」
動揺するナタリアとは裏腹に、酸いも甘いも心得ている大人のように、ギルは平然と話を進めていく。
「そのうえ皇帝陛下は、異母弟にとどめを刺そうと、長年探しておられた。皇帝陛下を殺さなければ、この先彼は確実に殺されてしまうわけです。だから異母弟が皇帝陛下の命を狙うのは、考えようによっては当然なのですよ。……よほどの心変わりがない限りは」
「な、どうしてそんな……! だって彼はそのときまだ四歳か五歳でしょ? 皇帝にと推し進めたのは政権を操りたかった大人たちで、彼にはなんの意思もなかったのに」
むごい話に、ナタリアは震えた。
年端もいかない子供に拷問だなんて、想像しただけで吐き気がする。
「ええ、そうですね。ですがそれが戦争というものですよ。そして、オルバンス帝国の王室に生まれてしまった彼の宿命だったのでしょう」
動揺するナタリアとは裏腹に、酸いも甘いも心得ている大人のように、ギルは平然と話を進めていく。
「そのうえ皇帝陛下は、異母弟にとどめを刺そうと、長年探しておられた。皇帝陛下を殺さなければ、この先彼は確実に殺されてしまうわけです。だから異母弟が皇帝陛下の命を狙うのは、考えようによっては当然なのですよ。……よほどの心変わりがない限りは」



