ナタリアは一ヶ月ほど安静を言い渡され、部屋で静養することになった。

レオン獰猛化事件は、捜査の末、レオンの食事に興奮剤が混入されていたことが発覚した。

ナタリアは、身に覚えがなくとも自分が犯人に仕立て上げられるのかとビクビクしていたが、疑いをかけられることもなく、平穏に時が過ぎていく。

怪我をしてからというもの、リシュタルトは今まで通り――否、今まで以上にナタリアに構うようなった。

静養中は時間があればナタリアのもとを訪れ、回復してからも毎日のようにユキとロイの散歩に誘われた。

ナタリアを傷つけてしまったレオンはすっかりしょげていたが、「お兄様が悪いのではございません」というナタリアのひと言にキュンとしたらしい。

よりいっそうシスコンぶりが激しくなり、最近はアリスのことを放り出してまで、ナタリアの近くにいようと奔走している。