悪役幼女だったはずが、最強パパに溺愛されています!

朧げな霧の中を、ナタリアはさ迷っていた。

どういうわけか体は宙に浮いていて、ぼんやりと下を見下ろしている。

畳敷きの部屋に、ナタリアは見覚えがあった。

(ここは、前世の私の家?)

畳の上では、幼い少女が突っ伏して、声を押し殺して泣いていた。

悲しげな声が部屋中に響いても、彼女を慰める人はどこにもいない。

『お父さん、どうしていなくなっちゃったの?』

――私のことを、大事に思ってなかったの?

彼女のつらい気持ちが、傍観しているナタリアの胸にじんと響く。

――ずっと、私が邪魔だったの?

悲痛な声が、ナタリアの心を震わせた。

私はただ、愛されたかっただけなのに――。