悪役幼女だったはずが、最強パパに溺愛されています!

(ああ、やっぱりダメだった……)

薄れゆく意識の中、少しでも自分に期待した自分自身を呪った。

悪役令嬢がヒーローを救うなんてことは、やはりどう考えてもあり得ないのだ。

(天地がひっくり返っても、私は幸せになれないのね) 

そのときだった。

大きくてあたたかなぬくもりが、ナタリアの全身をふわりと包み込む。

(え、何……?)

「――……!」

誰かが、何かを叫んでいる。

だが何が起こっているのか確かめる気力はもうなく、ナタリアはプツリと意識を手放したのである。