レオンのアイスブルーの瞳が、いつの間にかこちらをじっと睨んでる。
「お前、ナタリアから離れろ!」
大急ぎで垣根を回り込んできたレオンが、ギルに詰め寄る。
「前から思ってたが、お前、いつもナタリアに近づき過ぎだぞ! 家庭教師なら家庭教師らしく、距離を保て!」
それからレオンはナタリアを見ると、先ほどまでの剣幕が嘘のような朗らかな笑みを浮かべた。
「ナタリア、久しぶりだな。お前がこの間僕に頼んだ例の件、順調に手筈を整えているからな、心配するな」
ポンポンと得意げにナタリアの頭を撫でるレオン。
「え? 例の件とは……?」
するとレオンは眉を寄せ、「獣操師の認定試験の件だよ」とこっそりナタリアに耳打ちする。
思いがけない答えに、ナタリアは目を丸くした。
「覚えてくださっていたのですか?」
「僕がお前との約束を忘れるわけがないだろ?」
ナタリアが可愛くて仕方がないといった風に、レオンが目を細めた。
レオンの後ろでは、アリスが引きつったような笑みを浮かべながら仲睦まじい兄妹を見ている。
それでもレオンは、アリスを放ったらかしにして、ナタリアに構い続けた。
今日も愛変わらずかわいいだの、ちょっと見ない間に女らしくなったなど、耳がかゆくなるほどの誉め言葉をひたすら浴びせてくる。
「お兄様。その、アリス様を放っておいていいのですか?」
「放ってなどいない。兄が妹との時間を大事にして何が悪い?」
「でも、アリス様はお兄様の番なのでしょう?」
「そうだが、その前にお前は僕の妹だろう?」
当然だろう、という風に言い放つレオン。
それからレオンは、眼差しを鋭くすると、ギルを睨んだ。
「お茶会が始まるからもう行くが、いいか、ナタリアに引っつき過ぎるなよ!」
「はい、かしこまりました」
最後まで名残惜しそうにしながら、レオンはアリスとともに去っていった。
(なんか、モフ番のときとお兄様の様子が違わない?)
番と出会った獣人は、番しか目に入らなくなり、番中心の生活になるとモフ番に書いてあった。
モフ番の中では、レオンはアリス以外の女性を冷たくいなし、アリス第一主義の生活を送っていたはずだ。
だからナタリアは、アリスと出会ったレオンはもはや自分のことなど見向きもしないと思っていたのに、どうやらそうでもないらしい。
「お前、ナタリアから離れろ!」
大急ぎで垣根を回り込んできたレオンが、ギルに詰め寄る。
「前から思ってたが、お前、いつもナタリアに近づき過ぎだぞ! 家庭教師なら家庭教師らしく、距離を保て!」
それからレオンはナタリアを見ると、先ほどまでの剣幕が嘘のような朗らかな笑みを浮かべた。
「ナタリア、久しぶりだな。お前がこの間僕に頼んだ例の件、順調に手筈を整えているからな、心配するな」
ポンポンと得意げにナタリアの頭を撫でるレオン。
「え? 例の件とは……?」
するとレオンは眉を寄せ、「獣操師の認定試験の件だよ」とこっそりナタリアに耳打ちする。
思いがけない答えに、ナタリアは目を丸くした。
「覚えてくださっていたのですか?」
「僕がお前との約束を忘れるわけがないだろ?」
ナタリアが可愛くて仕方がないといった風に、レオンが目を細めた。
レオンの後ろでは、アリスが引きつったような笑みを浮かべながら仲睦まじい兄妹を見ている。
それでもレオンは、アリスを放ったらかしにして、ナタリアに構い続けた。
今日も愛変わらずかわいいだの、ちょっと見ない間に女らしくなったなど、耳がかゆくなるほどの誉め言葉をひたすら浴びせてくる。
「お兄様。その、アリス様を放っておいていいのですか?」
「放ってなどいない。兄が妹との時間を大事にして何が悪い?」
「でも、アリス様はお兄様の番なのでしょう?」
「そうだが、その前にお前は僕の妹だろう?」
当然だろう、という風に言い放つレオン。
それからレオンは、眼差しを鋭くすると、ギルを睨んだ。
「お茶会が始まるからもう行くが、いいか、ナタリアに引っつき過ぎるなよ!」
「はい、かしこまりました」
最後まで名残惜しそうにしながら、レオンはアリスとともに去っていった。
(なんか、モフ番のときとお兄様の様子が違わない?)
番と出会った獣人は、番しか目に入らなくなり、番中心の生活になるとモフ番に書いてあった。
モフ番の中では、レオンはアリス以外の女性を冷たくいなし、アリス第一主義の生活を送っていたはずだ。
だからナタリアは、アリスと出会ったレオンはもはや自分のことなど見向きもしないと思っていたのに、どうやらそうでもないらしい。



