悪役幼女だったはずが、最強パパに溺愛されています!

それからというもの、レオンは時間があればナタリアに会いに離宮に来るようになった。

絵本を読み聞かせたり、自分が幼いころに遊んだ木製の動物フィギュアを持ち込んだりして、ナタリアの相手をしてくれる。

出会うなりすっかり自分に懐いた妹が、かわいくて仕方ないようだ。

おかげでナタリアのお喋りはぐんぐん上達していった。

「ナタリア、これは狼だよ」

「おおきゃみ」

「そしてこれは、狼よりも強いドラドだ。獣の中で最強なんだよ」

レオンが、ドラドと呼ばれる狼よりもさらに大きい巨獣の木製フィギュアをナタリアに見せる。

「どらど?」

「そう、上手だね」

獣人と人間の共存するこの世界には、獣がたくさん生息している。

中でも巨獣ドラドは希少種であり、ところによっては神のように崇拝されていた。

「おにいたま、こりぇ」

「ん? 次は本を読んでほしいのかい? ナタリアは勉強好きでえらい子だね」

子猫のように懐いてくるナタリアに、レオンが甘い声を出す。

「レオン様が遊んでくださるようになってから、すっかりお利口になられましたわね」

「レオン様にお会いできるのがよほど楽しみなんでしょうね、毎日のように脱走されていたのが嘘のように大人しくなられましたわ」

ドロテとアビーが口々にほめたたえると、レオンは照れたように笑うのだった。