悪役幼女だったはずが、最強パパに溺愛されています!

「不思議だ。その声、その唇、その指先。出会ったばかりだというのにすべてが愛しくて、胸が苦しいよ。噂では聞いていたが、本当にこういうものなのだな。僕の世界は君だけになってしまった」

「………?」

「君の名前は?」

「……アリス・モルフィと申します」

「アリス、いい名前だ。僕の運命の番」

アリスが、黒い瞳を見開く。

「え? 今なんて……」

「番だと言ったんだ、愛しい人。もっと君のことを教えてくれ」

アリスだけをひたむきに見つめるレオンは、言葉通り、もはやナタリアなど眼中にないようだ。

(モフ番とまったく同じセリフ……)

妹にメロメロだったシスコン兄は、一瞬にしてどこかに消えてしまった。

恐ろしいほど分かりやすいレオンの変貌ぶりに、ナタリアはショックを隠し切れないでいた。