ナタリアが獣操師の認定試験を受けようとしていることは、リシュタルトもすでに知っている。
だからナタリアは、スムーズに事が運ぶと思っていた。
――なのに。
リシュタルトは突然、愛娘を見つめる柔らかな表情を崩す。
「ダメだ」
「へ?」
「聞こえなかったか? ダメと言ったんだ」
先ほどまでの和やかさが嘘のような、殺伐とした声色。
まさかこれほどはっきりと断れるとは思っていなくて、ナタリアは開いた口が塞がらない。
今まで、ナタリアは本当にいい子だった。
きちんと言うことを聞いてきたし、わがままもほとんど言ったことがない。
誰にでも愛想よく接したし、獣にも、使用人にも、街の人々にも好かれている。
そんなナタリアをリシュタルトは目に入れても痛くないほどかわいがっていたし、冷血漢と呼ばれる彼がナタリアにだけは甘いのは、今となっては有名な話である。
――そのはずなのに、こんな肝心なときに、いったいどいいう風の吹き回しだろう?
「……でも、あれほど勉強をサポートしてくださったではありませんか。お父様だって以前、ご自分が獰猛化したときは私に助けて欲しいって――」
「獣操の勉強をするのと、実際に獣操師になるのとでは意味合いが違う」
「そんな……」
理不尽に言いくるめられ、ナタリアは泣きそうになる。
ナタリアならきっと一発で認定試験をクリアできると、イサクもギルも応援してくれているのに。お父様は違ったの?
だからナタリアは、スムーズに事が運ぶと思っていた。
――なのに。
リシュタルトは突然、愛娘を見つめる柔らかな表情を崩す。
「ダメだ」
「へ?」
「聞こえなかったか? ダメと言ったんだ」
先ほどまでの和やかさが嘘のような、殺伐とした声色。
まさかこれほどはっきりと断れるとは思っていなくて、ナタリアは開いた口が塞がらない。
今まで、ナタリアは本当にいい子だった。
きちんと言うことを聞いてきたし、わがままもほとんど言ったことがない。
誰にでも愛想よく接したし、獣にも、使用人にも、街の人々にも好かれている。
そんなナタリアをリシュタルトは目に入れても痛くないほどかわいがっていたし、冷血漢と呼ばれる彼がナタリアにだけは甘いのは、今となっては有名な話である。
――そのはずなのに、こんな肝心なときに、いったいどいいう風の吹き回しだろう?
「……でも、あれほど勉強をサポートしてくださったではありませんか。お父様だって以前、ご自分が獰猛化したときは私に助けて欲しいって――」
「獣操の勉強をするのと、実際に獣操師になるのとでは意味合いが違う」
「そんな……」
理不尽に言いくるめられ、ナタリアは泣きそうになる。
ナタリアならきっと一発で認定試験をクリアできると、イサクもギルも応援してくれているのに。お父様は違ったの?



