ナタリアの手を握ったまま、レオンが顔をほんわりとさせた。
「ナタリア、お兄様だよ。お兄様って呼んでごらん?」
「無理ですよ、レオン様。ナタリア様はまだ言葉をお喋りになられないのです」
「そうなの? 喋る日が待ち遠しいなあ」
ナタリアを見つめるレオンの目尻が、どんどん下がっていく。
(あら? もしかしてレオン少年は赤ちゃん好き?)
そういえばレオンは、優しくて温厚な、絵に描いたような王子様キャラだった。
離宮に隔離され、孤独に育ったナタリアを哀れみ、彼女の部屋を本宮に移すようリシュタルトに進言したのも彼だったはず。
ある日突然暮らしが贅沢になったナタリアは、自分がこの国の王女だということを自覚し、今までのつつましやかな生活の反動もあって傲慢な性格に様変わりしてしまうのだが――。
(それにしても、レオンとナタリアが初めて会ったのは、ナタリアが八歳くらいのときじゃなかったっけ? 赤ちゃんの頃ではなかったはずよ。モフ番とは、ちょっと流れが違うのかも)
これはひょっとしてひょっとすると、リシュタルトに気に入られ、アリスに会う前に外国に逃げて何不自由なく暮らすのも、夢ではないかもしれない。
とりあえずまずは、目の前にいる優しい兄を攻略しよう。
そしてレオンに気に入られ次第、本宮に移り住みたいと頼むのだ。
本宮に住めば、リシュタルトとも出会えるはず。
「ナタリア、お兄様だよ。お兄様って呼んでごらん?」
「無理ですよ、レオン様。ナタリア様はまだ言葉をお喋りになられないのです」
「そうなの? 喋る日が待ち遠しいなあ」
ナタリアを見つめるレオンの目尻が、どんどん下がっていく。
(あら? もしかしてレオン少年は赤ちゃん好き?)
そういえばレオンは、優しくて温厚な、絵に描いたような王子様キャラだった。
離宮に隔離され、孤独に育ったナタリアを哀れみ、彼女の部屋を本宮に移すようリシュタルトに進言したのも彼だったはず。
ある日突然暮らしが贅沢になったナタリアは、自分がこの国の王女だということを自覚し、今までのつつましやかな生活の反動もあって傲慢な性格に様変わりしてしまうのだが――。
(それにしても、レオンとナタリアが初めて会ったのは、ナタリアが八歳くらいのときじゃなかったっけ? 赤ちゃんの頃ではなかったはずよ。モフ番とは、ちょっと流れが違うのかも)
これはひょっとしてひょっとすると、リシュタルトに気に入られ、アリスに会う前に外国に逃げて何不自由なく暮らすのも、夢ではないかもしれない。
とりあえずまずは、目の前にいる優しい兄を攻略しよう。
そしてレオンに気に入られ次第、本宮に移り住みたいと頼むのだ。
本宮に住めば、リシュタルトとも出会えるはず。



