悪役幼女だったはずが、最強パパに溺愛されています!

こっそり港町に通うようになって、二ヶ月が過ぎた。

ナタリアは、食堂に集う面々とまるで旧知の仲のように仲良しになっていた。

今日も、ギルとともに食堂に入るなり、「お、ベルだ!」「ベルが来たぞ!」と歓迎される。

皆に挨拶を済ませると、いつものようにギルと並んでカウンター席に座るナタリア。

「相変わらず美男美女の兄妹だねえ」

カミーユが、ギルとナタリアの前にコーヒーと木イチゴのジュースを置いてくれる。

今ではもう、注文しなくとも好みのメニューが出てくるので大変便利である。

「そういえばギル、あんたに話があるんだけどさ」

「何でしょう?」

「女の子たちにあんたを紹介しろって言われたんだけど、興味あるかい? ほら、ちょうどあそこに座ってる子たちだよ」

カミーユが、顎でとある客席を示した。

見ると、三人の人間の女の子がキャーキャー言いながらこちらに手を振っている。美男のギルはモテモテらしい。

だがギルは、笑顔のままカミーユに向き直った。

「興味ないですね」

「おや、つれない男だね。なかなかかわいい子たちだと思わないかい? ひとりは、港町一の美人とまで言われてるんだよ」

「俺には、女性は獣人も人間も皆同じ顔に見えますので」