悪役幼女だったはずが、最強パパに溺愛されています!

撫で過ぎたせいで真っ白なふわふわの毛がペタンとしてしまったユキ。

当のユキは、禿げることなど気にせず、ハッハッと舌を出して撫でられることに喜んでいる。

「ごめんね、ユキ。ぼーっとしちゃった」

ナタリアは慌ててユキの毛をふんわり整える。

ユキは嬉しそうに尻尾を振って、ナタリアの頬をぺろりと舐めてくれた。

「最近、お前は様子がおかしいな」

「……そうですか?」

こっそり街に行っていることがバレてしまったのかも、とドキリとするナタリア。 

「昼も夜も、ぼうっとしていることが多い。体がどこかおかしいなら王宮医に見てもらえ」

どうやらバレたわけではなさそうだ。

ナタリアはホッと息を吐くと、「はい、そうします!」と明るく答えた。

そんなナタリアを、なぜかじっと見つめてくるリシュタルト。

「お前……」

「? 何でしょう?」

「――いや、何でもない」

リシュタルトは、言葉を呑み込んでしまった。

彼が何を喋ろうとしたのか気になりつつも、それ以上は聞ける雰囲気ではなく、そのうちナタリアはそのことを忘れてしまっていた。