それからことあるごとにリシュタルトはナタリアの部屋に来て、出かけないかと声をかけてきた。
さすがに毎回断るのはよくないので、ナタリアは港町に行きたいのをぐっとこらえ、リシュタルトと過ごすこともあった。
出かけるといっても、ロイとユキを連れ、城内を散歩する程度のことである。
リシュタルトはいつだって無口だった。ナタリアが気を利かせてあれこれ喋るのだが、本当に疲れる。
ナタリアは、いつしか彼と過ごす時間を重苦しく感じるようになっていた。
(イサクだったら、私が興味あることをいくらでも喋ってくれるのに……)
それにカミーユやオーガストのいるあの食堂は、いつもワイワイとしていて居心地がいい。
孤独に育ったナタリアにとって、誰かと笑い合える空間は新鮮だった。
リシュタルトといるときも、いつの間にか食堂のことを思い出して心ここにあらずになってしまう。
そんなナタリアを、リシュタルトはどこか物言いたげに見ていた。
(ああ、早く港町に行きたい)
「ナタリア」
ボールを咥えて戻ってきたユキをぼうっとしながら撫でていると、リシュタルトに呼ばれた。
「ユキを撫で過ぎだ。摩擦で毛が抜けそうだぞ」
「あ……」
さすがに毎回断るのはよくないので、ナタリアは港町に行きたいのをぐっとこらえ、リシュタルトと過ごすこともあった。
出かけるといっても、ロイとユキを連れ、城内を散歩する程度のことである。
リシュタルトはいつだって無口だった。ナタリアが気を利かせてあれこれ喋るのだが、本当に疲れる。
ナタリアは、いつしか彼と過ごす時間を重苦しく感じるようになっていた。
(イサクだったら、私が興味あることをいくらでも喋ってくれるのに……)
それにカミーユやオーガストのいるあの食堂は、いつもワイワイとしていて居心地がいい。
孤独に育ったナタリアにとって、誰かと笑い合える空間は新鮮だった。
リシュタルトといるときも、いつの間にか食堂のことを思い出して心ここにあらずになってしまう。
そんなナタリアを、リシュタルトはどこか物言いたげに見ていた。
(ああ、早く港町に行きたい)
「ナタリア」
ボールを咥えて戻ってきたユキをぼうっとしながら撫でていると、リシュタルトに呼ばれた。
「ユキを撫で過ぎだ。摩擦で毛が抜けそうだぞ」
「あ……」



