悪役幼女だったはずが、最強パパに溺愛されています!

就寝前のリシュタルトの来訪は相変わらず続いているが、こっそり街に出た日は疲れてしまい、ナタリアは先に寝ていた。

月に一度の獣保護区への視察も、今月はリシュタルトが多忙で中止になったばかりである。

言われてみれば、たしかに彼との関わりは減っている。

彼の愛情を確実なものとするために、関わりはなるべく減らさない方がいい。

それは分かっているのだが――。

(この間のイサクおじさんの話の続き、すごく気になる!)

先日中途半端なところで話を中断されてしまい、ずっとうずうずしていた。

ようやくギルから港町に行く馬車の手配が整ったと聞き、喜んでいた矢先だったのである。

もう我慢ができない。

リシュタルトの方は、これまでずっと甘えつづけていたのだから、少しくらいおざなりにしても問題ないだろう――と思うことにした。

ナタリアはにっこりと笑みを作る。

「お父様。お誘いはうれしいのですが、どうしても今日は読みたい本があるのです」

「今日でなければダメなのか?」

「今日でなければダメなのです」

「……そうか、ではまた改めよう」

あからさまに肩を落とすと、リシュタルトは部屋を出て行った。