ぐいっと葡萄酒をあおりながらイサクが言う。
「なんだか聞き込みをしているようだね。やだよ、事件かしら。物騒だねえ」
カミーユが、皿を拭きながら不安げに言った。
侍従たちはひとしきり聞き込みをしたあと、最後にカミーユを呼びつけ何かを問いかけてから店を出て行った。
ナタリアは緊張しつつ、カウンター越しにカミーユに尋ねる。
「カミーユさん、あの人たちに何を聞かれたの?」
「どうやら人を探しているようだよ」
ナタリアはドキッとしてクランベリージュースを吹き出しそうになる。
「銀色の髪に黒い瞳をした二十歳くらいの獣人を見かけたことがないか、ってさ。もちろん銀髪の男なんて知らないと答えたけどね。銀髪なんていう珍しい髪色、あんたも皇帝くらいしか知らないだろ?」
(なんだ、私のことじゃないのね)
ひとまず、ホッと息をついた。
「なるほどそういうことか。皇帝はまだあきらめていないんだな」
イサクが、腕を組みながらつぶやいている。
どうやら彼は、この件に関して何か知っているようだ。
「あきらめてないって、どういうこと?」
「俺は昔城で働いてたことがあったんだがよ。そのときから皇帝は弟を探しているんだ。たしか、名前はクライド様っていったかな」
「皇帝陛下に、弟がいらっしゃるの?」
ナタリアは目を丸くした。そんな話、聞いたことがない。
「正しくは、いたと言った方がいいかな。もっともそのことを知っているのは、今となってはごく一部の人間だけだが――」
「なんだか聞き込みをしているようだね。やだよ、事件かしら。物騒だねえ」
カミーユが、皿を拭きながら不安げに言った。
侍従たちはひとしきり聞き込みをしたあと、最後にカミーユを呼びつけ何かを問いかけてから店を出て行った。
ナタリアは緊張しつつ、カウンター越しにカミーユに尋ねる。
「カミーユさん、あの人たちに何を聞かれたの?」
「どうやら人を探しているようだよ」
ナタリアはドキッとしてクランベリージュースを吹き出しそうになる。
「銀色の髪に黒い瞳をした二十歳くらいの獣人を見かけたことがないか、ってさ。もちろん銀髪の男なんて知らないと答えたけどね。銀髪なんていう珍しい髪色、あんたも皇帝くらいしか知らないだろ?」
(なんだ、私のことじゃないのね)
ひとまず、ホッと息をついた。
「なるほどそういうことか。皇帝はまだあきらめていないんだな」
イサクが、腕を組みながらつぶやいている。
どうやら彼は、この件に関して何か知っているようだ。
「あきらめてないって、どういうこと?」
「俺は昔城で働いてたことがあったんだがよ。そのときから皇帝は弟を探しているんだ。たしか、名前はクライド様っていったかな」
「皇帝陛下に、弟がいらっしゃるの?」
ナタリアは目を丸くした。そんな話、聞いたことがない。
「正しくは、いたと言った方がいいかな。もっともそのことを知っているのは、今となってはごく一部の人間だけだが――」



