悪役幼女だったはずが、最強パパに溺愛されています!

「ところでお嬢ちゃん、どうしてあんたからドラドの匂いがするんだい?」

イサクが、ナタリアの隣にドカッと腰掛ける。

一見してヘラヘラとした印象だが、目の奥が据わっていて、隙がないようにも見える奇妙な男だった。

「私、ドラドを飼ってるんです」

ナタリアが正直に答えると、イサクはぽかんと口を開けた。

それから、たまらないといった風に、ブハッと盛大に噴出す。

「おいおい、冗談だろ! 凄腕の獣操師と呼ばれた俺ですら、あの珍獣を手懐かせるのは苦労したのに、飼っているだと?」

目尻に涙まで浮かべているイサク。

だがナタリアがしごく落ち着いた顔をしているのに気づき、笑うのをやめた。

「――まさか、本当なのか」

ナタリアはコクコクと頷いた。

「それはすごいな。だがお嬢ちゃんからは間違いなくドラドの匂いがする。よほど接近しないと、これほどまで匂いはしないだろう。俺はお嬢ちゃんを信じるよ」

ニッと少年ぽく微笑んだ彼は、悪い人ではなさそうだ。

「私、獣操師になりたいんです。そのためにいろいろ知りたいんです」

ナタリアは、凛と背筋を伸ばして言った。

ほう、とイサクが関心を示す。

「こんな小さいお嬢さんがかい? へえ。で、何を知りたいんだい?」

「獣操師の仕事についてとか、北大陸のこととか」