音が近い。
舐められてる音が…。


「か、ける…っ!」

「紬ちゃん、かぁわいい」


コンコン、
ドアを叩く音がした。


「紬?そろそろ寝ないと駄目よー?」


ママの声がする。
時計の針は21時半。

30分も夜更かししてしまったようだ。


「っっ…かけ、る…!」

「叔母さん呼んでるよ?お話しないと入ってきちゃうよ?」


翔の息遣いがすぐそこにある。


「つむぎー?」


ガチャ…、


「ッ、い、今着替えてるの…!」


開きかけたドアが止まった。


「あら…ママが手伝おうか?」

「だ、いじょぶ…もう寝るだけだか……、」


チュッ、


「んっ…!」


甘噛みされた耳たぶに意図せず声が漏れた。

慌てて口を閉じる。外に居るママには聞こえなかったみたい。


「翔くんは?もう帰っちゃったのかしら?」


隣に……、


「いないって言って?」

「ッ…かえ、った…よ」


どうして言う事聞いてるんだろう。
ママに嘘付くなんて…バレたら怒られるのに。


「あら残念だわー。ママも新曲聞きたかったのに…でもそうね。次会う時にはもうテレビで見れるわね」


「う…んっ…!」


っ、音立てないで。
ゾワゾワするから…!


「紬?暖かくして寝るのよ?風邪ひかないようにね?」


「ふぁ……いっ、」


ママは最後に「おやすみ」と言ってからドアを閉めた。