ここ廊下なのにそんなに騒いでたら…。


「静かにしないと怒られ、」

「——————雲雀の言う通りだ。馬鹿共」


ハッとして、顔を上げる。
…やっぱり怒ってた。


(みのる)くん…」


思わず出てしまった言葉に口を紡ぐ。
間違えて名前で呼んでしまった。


学校では先生って呼べって言われてたのに…!


一瞬だけ合う視線。だけど紘が背中を向けたから見えなくなった。


「なんでテメェがここに居んだよ」

「紘!鷹埜(たかの)先生に失礼だよ!」


女の子達の黄色い声が聞こえた。
これはきっと実くんに対して。


元モデルで、高身長に綺麗な顔立ち。
鷹埜 実(たかのみのる)先生。

A組から出てきたのを見るに、担任の先生なのだろう。


帰り支度を終えた生徒達が集まってる。
きゃあきゃあ、と見ているのは実くんの方。


…本当は、ここの五人もかっこいいなんて分かったら、凄い事になるんだろうなぁ。


実くんは溜息を吐いた後、「生徒指導部に来い」と言った。