いわく「男は使い捨て、女はやり捨て」というからお察しというところだ。

高校生になった現在では、グレるのにも飽きたのか、荒れた素行はなりをひそめ、孤独癖を強めたまま学生生活を送っているとのことだ。

成績はすこぶる優秀で、理数系の特進クラスに在籍している。荒れていた中学生の頃も成績は落とさなかったというから、単純に地頭がいいのだろう。
そして事業に多忙な父親は、息子が文句のない成績を収めているかぎり、無関心無干渉を貫いているそうだ。

家族という存在とも距離を置き、佐澤洸暉は家の敷地内にある離れで一人寝起きしているという。
———というのが、梢と奈美、そして母と祖母から聞いた話をつなぎ合わせて知った佐澤洸暉の人物像だ。
相当な要注意人物、ということはよく分かった。