そして今。
三条ちゃんの姿を見て、私の選択は間違っていなかったのだと悟った。
洋服が、三条ちゃんにすごく似合っていた。
まるで、三条ちゃんのためにあつらえたと言っても過言ではない。
「じゃあ、私は終業後に三条ちゃんの服に着替えるから、髪型だけ作っちゃうね」
と言ってから、三条ちゃんの髪型をスマホでパシャリ。
それから写真を見ながら、作っていく。
比較的簡単なオフィスカジュアルな髪型で良かった……。
これなら、私にもできそうだ……。
「あの……」
三条ちゃんが、遠慮がちに声をかけてきた。
「この洋服……お返しする時にちゃんとクリーニングしますから」
「あーいいよ」
「え!?」
「そのまま、三条ちゃんが着なよ」
「そ、それは無理です!絶対お返しします!」
「いいから!」
あ……。
しまった。
強く言いすぎてしまった。
鏡越しに、三条ちゃんが怯えているのが見えた。
「ごめん三条ちゃん。1番三条ちゃんが辛いのに」
「そんなこと……」
ないです、という嘘が言えないところから、三条ちゃんの育ちの良さが見える。
私は、年下の三条ちゃんに少しでも安心してもらえるように
「大丈夫。お姉さんに任せない」
と、大人の貫禄を見せてから、三条ちゃんに自席に戻るように促した。
それから、2つの約束を守るように言った。
1つ目は、私からのLINEの連絡をしっかり見ること。私が自分の今日の動きと鮫島の連絡を逐一連絡することにしている。
それを見ながら、三条ちゃんが、鮫島に見つからずに自宅に帰れるようにすることが目的だ。
2つ目は、この作戦のことは私と三条ちゃん以外、決して口外しないということ。
三条ちゃんは、小さくこくりと頷いて、先にトイレから出て行った。
「さて……」
1人になったところで、再度三条ちゃん風の髪型とメイクをする。
三条ちゃんの顔とは、どんなに化粧を塗りたくっても似ても似つかないのは分かっているけど、遠目から見た時の雰囲気くらいは似せられるはずだ。
1番の違いの胸部分は、終業後に三条ちゃんの服を着る時に、大きめの胸パッドで作る予定だ。
私の予測が正しければ……鮫島は三条ちゃんの胸を狙ってくる。
だから、胸作りは、この身代わりの中で最も重要になる。
「気合、入れなきゃな……」
私は、自分の頬をペチン、と叩いて無理やり気合を入れた。
本当は、昨日の今日で、鮫島が現れるかすらわからない。
下手すると、もっと日数はかかってしまうかもしれない。
そもそも、私なんかじゃ釣れないかもしれない……。
不安なことは、盛りだくさん。
でも、この作戦については、第三者を巻き込んでややこしくなるのも、避けたい。
鮫島には、三条ちゃんを追いかけるのをやめてもらい、無事にYAIDAに入社するまで大人しくしてもらう。
これを説得できるのは、YAIDAの営業担当というカードを持っている、私だけなのだから……。
三条ちゃんの姿を見て、私の選択は間違っていなかったのだと悟った。
洋服が、三条ちゃんにすごく似合っていた。
まるで、三条ちゃんのためにあつらえたと言っても過言ではない。
「じゃあ、私は終業後に三条ちゃんの服に着替えるから、髪型だけ作っちゃうね」
と言ってから、三条ちゃんの髪型をスマホでパシャリ。
それから写真を見ながら、作っていく。
比較的簡単なオフィスカジュアルな髪型で良かった……。
これなら、私にもできそうだ……。
「あの……」
三条ちゃんが、遠慮がちに声をかけてきた。
「この洋服……お返しする時にちゃんとクリーニングしますから」
「あーいいよ」
「え!?」
「そのまま、三条ちゃんが着なよ」
「そ、それは無理です!絶対お返しします!」
「いいから!」
あ……。
しまった。
強く言いすぎてしまった。
鏡越しに、三条ちゃんが怯えているのが見えた。
「ごめん三条ちゃん。1番三条ちゃんが辛いのに」
「そんなこと……」
ないです、という嘘が言えないところから、三条ちゃんの育ちの良さが見える。
私は、年下の三条ちゃんに少しでも安心してもらえるように
「大丈夫。お姉さんに任せない」
と、大人の貫禄を見せてから、三条ちゃんに自席に戻るように促した。
それから、2つの約束を守るように言った。
1つ目は、私からのLINEの連絡をしっかり見ること。私が自分の今日の動きと鮫島の連絡を逐一連絡することにしている。
それを見ながら、三条ちゃんが、鮫島に見つからずに自宅に帰れるようにすることが目的だ。
2つ目は、この作戦のことは私と三条ちゃん以外、決して口外しないということ。
三条ちゃんは、小さくこくりと頷いて、先にトイレから出て行った。
「さて……」
1人になったところで、再度三条ちゃん風の髪型とメイクをする。
三条ちゃんの顔とは、どんなに化粧を塗りたくっても似ても似つかないのは分かっているけど、遠目から見た時の雰囲気くらいは似せられるはずだ。
1番の違いの胸部分は、終業後に三条ちゃんの服を着る時に、大きめの胸パッドで作る予定だ。
私の予測が正しければ……鮫島は三条ちゃんの胸を狙ってくる。
だから、胸作りは、この身代わりの中で最も重要になる。
「気合、入れなきゃな……」
私は、自分の頬をペチン、と叩いて無理やり気合を入れた。
本当は、昨日の今日で、鮫島が現れるかすらわからない。
下手すると、もっと日数はかかってしまうかもしれない。
そもそも、私なんかじゃ釣れないかもしれない……。
不安なことは、盛りだくさん。
でも、この作戦については、第三者を巻き込んでややこしくなるのも、避けたい。
鮫島には、三条ちゃんを追いかけるのをやめてもらい、無事にYAIDAに入社するまで大人しくしてもらう。
これを説得できるのは、YAIDAの営業担当というカードを持っている、私だけなのだから……。



