助けてください!エリート年下上司が、地味な私への溺愛を隠してくれません

鮫島の入社意思は、もうYAIDA側には伝えてしまっている。
このタイミングでトラブルを起こせば……内定取り消しにもなり得る。
この件は、早期解決が必須。
私は、何としても次の日には、ある作戦を決行するため、あるものを持って出社した。
この作戦は、まさに家に帰ってからすぐ目に入った、あるものを見て思いついたもの。
そして今はお昼休み。
このあるものを……三条ちゃんに届けに行くところ。
ついでに、三条ちゃんの先輩の顔を拝むことができれば万々歳かな、と思っている。

「高井さん……!」

待ち合わせ場所は、CA用の執務室前。
私は

「はい、これ」

と紙袋を三条ちゃんに渡した。
三条ちゃんはそれの中身を確認すると

「え、これ……本当にいいんですか……?」
「もちろん……」
「でも、これって」
「いいからいいから」

私は、目的のために無理やり三条ちゃんを女子トイレに連行する。

「時間がないんだから、早く」
「わ、わかりました……!」

三条ちゃんは、急いで紙袋を抱えて、トイレの個室に入った。

「さて……」

三条ちゃんが出てくる前に、私もしておかないといけないことがある。
トイレの中に設置されている、パウダールームっぽくなってるところに私は陣地を取った。
普段はあまり持ち歩かない、大きめの化粧品ポーチの中に入れてきたヘアブラシ、ヘアアイロン、そして黒ゴムを広げる。
これで、私の方は準備の準備は大丈夫。

「高井さん、これでいいですか……?」

個室から三条ちゃんが出てきた時、我ながらこの作戦は理にかなっているのではないか、と思った。
三条ちゃんが私に手渡したのは、彼女が今の今まで着ていた服。
そして彼女が今着ているのは私の……ではなく、この間加藤さんが押し付けてきた洋服だ。