助けてください!エリート年下上司が、地味な私への溺愛を隠してくれません

私は、三条ちゃんを例の予約していたカフェに連れて行った。
最初三条ちゃんは

「仕事が……」

と断ってきたが、明らかに様子がおかしいので

「そんな状態で仕事したって、失敗するだけだよ」

と言って、ほぼ無理やり拉致した形で連れて行った。
もちろん、転職希望者のカウンセリングが入っていなかったからこそできた、荒技なのは重々承知している。
三条ちゃんの先輩CAが厳しいのも知っているので、明日私からお詫びを入れておこう。
……定時で帰るのが、本来は普通であるべきなのに、という議論は一旦棚上げしとく。
だって、今日は自分ご褒美デーにしたから。

「こんなお店があったんですね」

三条ちゃんが、店の中でキョロキョロと見渡している。

「三条ちゃん、この店初めて?」
「あ、はいそうなんです。とても可愛いお店ですね」
「意外〜絶対来たことあると思ってたよ」

実は今来ている喫茶店は、会社と三条ちゃんの家の最寄駅の間にある有名な店だ。
三条ちゃんのように、女子力高め女子なら、女子会などで来ていても不思議ではなかったので、少し驚いた。
ちなみに私の家は、会社の最寄駅挟んで反対側の方向なので電車賃は追加でかかる。
それでもここには、十分に来る価値がある。
それは、注文した映えなパフェを見て実感した。
2000円支払わせるだけのことはある……!
でも……。

「三条ちゃん、本当にそれだけでいいの?」

三条ちゃんの前には、紅茶のカップ1つだけ。

「チーズケーキとか、小さめのケーキもあるみたいだよ」
「大丈夫です」
「あ、ダイエット中?だったらサラダとかも……」
「あ、本当に良いんです。……今、食欲無くて……」

言われてみて気付いた。

「三条ちゃん、もしかして……痩せた?」
「痩せたかはわかりませんが……ちょっと最近ご飯食べられなくて……」
「まさかそれってつわ……」
「え」

こら。
三条ちゃんに限ってつわりとか……そんなはずないじゃないか。
危うく、この可愛らしい子をドン引きさせるような発言するところだった。
危ない危ない……。
私は咳払いを1つしてから

「体調崩したとか?先輩にいじめられてるとか」
「あ、ええと……先輩とは……ちょっと違うんですけど……」

なかなか歯切れが悪い回答。
これは、本当に何かあったのか……?

「三条ちゃん……私で良ければ、ほんと相談に乗るよ」
「ありがとう……ございます……」

三条ちゃんは、それから一口だけ紅茶を飲んでから、しばらく紅茶の面を眺めていた。
私はと言うと、三条ちゃんのことを気にしつつ、綺麗なパフェの映え写真撮影もどうにか終わらせた。
よし、パフェ食べよう。
そう思い、パフェ用の長いスプーンでアイスをすくおうとした時だった。

「高井さん……私……殺されるんでしょうか!?」
「っ!!??」