その後、自席に戻ってから真っ先に取り掛かった仕事は、元木さんに報告し、早急に鮫島さんから内定承諾を貰うことだった。
メールでは時差がもどかしかったので、電話で報告した。
すると、元木さんからは、言葉よりも先に泣き声が聞こえてきた。
「あっ……ありがとう……ございます……」
鼻水混じりの元木さんの声から、彼がどれだけこの案件に賭けてたかが、分かった。
だから、私もそれに釣られて、まるで感動もののの映画を見たかのように、その場で泣き崩れてしまった。
それから、1度電話を切り、元木さんが鮫島さんへ連絡するのをじっと待つ。
本当なら、私は別にYAIDAの専属でもないので、他にもこなさなくてはいけない仕事は多い。
だけど、どうしても今は、心が落ち着かない。
だから、今私が唯一できることは祈るだけ。
どうか、内定承諾をしてください、と。
時間にして、およそ15分弱。
でも体感時間はきっと数時間だった。
生きた心地が、しなかった。
ちゃんと呼吸できていたのかすら、怪しい。
そんな生き地獄に終わりを迎えられたのは、元木さんから電話がかかってきたのに、元木さんが、涙と興奮でなかなかうまく言葉を話せてないのを聞いた時。
やりたかった仕事を成し遂げたんだ、と、自席でまた泣いた。
涙の力はすごいもので、今まで苦しかったものが、すべてこの瞬間洗い流された気がした。
「よくやった」
その後、加藤さんに、事務的に報告をしたら、普通に、褒めてくれた。
他の人にもしていたような、優しく、でも端的な褒め言葉。
欲しかったはずの褒め言葉が、とても冷たく聞こえた……気がして、胸が痛かった。
でも……そんな事で、私の喜びの余韻を消したくなかった。
だから私は、今日だけ特別に、自分に奮発したご褒美をあげたいと思った。
なので、ずっと行きたいと願っていた、1つ1000円以上するパフェのお店に急遽予約を入れてしまった。
定時ピタリにオフィスに出ないと間に合わない時間に、あえて。
そう。決してオフィスを……加藤さんの側を無理やり離れたかったわけじゃない。
オフィスを逃げるように去らなきゃいけないのは、あくまでご褒美のためだと、割り切ろうと思った。
「お疲れ様でした!」
定時ピッタリに、駆け足でオフィスを抜けた私は、電車の時間を再度確認しながら、エレベーターを待っていた。
ぽーんと、エレベーターが止まる音がした。
顔を上げた瞬間、扉が開き、そして……。
「……三条ちゃん……?」
中から出てきたのは、青ざめた顔をした三条ちゃん。
「どうしたの?こんな時間に外から帰ってくるなんて、コンビニ?」
CAは、カウンセリング時間によってはどうしても残業になってしまうので、定時過ぎに1度夜食を買いに行く人も多い。
だけど、見たところ、三条ちゃんは何も手にしていない。
そして、何故かずっと震えているかのようだった。
「三条ちゃん……何かあったの?」
「高井さん……私……怖くて……」
「怖い?どういうこと?」
私が聞くと、三条ちゃんは急にぼろぼろ泣き出してから、私に抱きついてきた。
まるで、母親にでもすがる子供のように。
メールでは時差がもどかしかったので、電話で報告した。
すると、元木さんからは、言葉よりも先に泣き声が聞こえてきた。
「あっ……ありがとう……ございます……」
鼻水混じりの元木さんの声から、彼がどれだけこの案件に賭けてたかが、分かった。
だから、私もそれに釣られて、まるで感動もののの映画を見たかのように、その場で泣き崩れてしまった。
それから、1度電話を切り、元木さんが鮫島さんへ連絡するのをじっと待つ。
本当なら、私は別にYAIDAの専属でもないので、他にもこなさなくてはいけない仕事は多い。
だけど、どうしても今は、心が落ち着かない。
だから、今私が唯一できることは祈るだけ。
どうか、内定承諾をしてください、と。
時間にして、およそ15分弱。
でも体感時間はきっと数時間だった。
生きた心地が、しなかった。
ちゃんと呼吸できていたのかすら、怪しい。
そんな生き地獄に終わりを迎えられたのは、元木さんから電話がかかってきたのに、元木さんが、涙と興奮でなかなかうまく言葉を話せてないのを聞いた時。
やりたかった仕事を成し遂げたんだ、と、自席でまた泣いた。
涙の力はすごいもので、今まで苦しかったものが、すべてこの瞬間洗い流された気がした。
「よくやった」
その後、加藤さんに、事務的に報告をしたら、普通に、褒めてくれた。
他の人にもしていたような、優しく、でも端的な褒め言葉。
欲しかったはずの褒め言葉が、とても冷たく聞こえた……気がして、胸が痛かった。
でも……そんな事で、私の喜びの余韻を消したくなかった。
だから私は、今日だけ特別に、自分に奮発したご褒美をあげたいと思った。
なので、ずっと行きたいと願っていた、1つ1000円以上するパフェのお店に急遽予約を入れてしまった。
定時ピタリにオフィスに出ないと間に合わない時間に、あえて。
そう。決してオフィスを……加藤さんの側を無理やり離れたかったわけじゃない。
オフィスを逃げるように去らなきゃいけないのは、あくまでご褒美のためだと、割り切ろうと思った。
「お疲れ様でした!」
定時ピッタリに、駆け足でオフィスを抜けた私は、電車の時間を再度確認しながら、エレベーターを待っていた。
ぽーんと、エレベーターが止まる音がした。
顔を上げた瞬間、扉が開き、そして……。
「……三条ちゃん……?」
中から出てきたのは、青ざめた顔をした三条ちゃん。
「どうしたの?こんな時間に外から帰ってくるなんて、コンビニ?」
CAは、カウンセリング時間によってはどうしても残業になってしまうので、定時過ぎに1度夜食を買いに行く人も多い。
だけど、見たところ、三条ちゃんは何も手にしていない。
そして、何故かずっと震えているかのようだった。
「三条ちゃん……何かあったの?」
「高井さん……私……怖くて……」
「怖い?どういうこと?」
私が聞くと、三条ちゃんは急にぼろぼろ泣き出してから、私に抱きついてきた。
まるで、母親にでもすがる子供のように。



