「きっと、涼花さんにはわからないんじゃないかな」
その通りだけど、実際に言われると本当に腹立たしい。
「でもね、最近はあんまり好きじゃないんだ」
透真は窓の外を見て、寂しそうに呟いた。
「どうして?」
意図せず私の言い方は嬉しそうだった。
透真と考え方が一緒になって、嬉しいのかもしれない。
透真は私を見て、自分の人差指を唇に当てた。
「ヒミツ」
これもまた腹立つ。
「言え」
その鬱憤を晴らすように、透真の肩を殴る。
そんなに力は入れていないけど、透真はわざとらしく痛がった。
「なんで雨が好きじゃなくなったの」
改めて聞いても、透真は目を逸らすばかりで答えてくれない。
「……もういい」
私は踵を返して教室に入る。
もう誰もいなくて、室内には雨音が響いている。
やっぱり雨の音は嫌いで、逃げるようにカバンを持って教室を出る。
その流れるような動きの間に透真に呼ばれたような気がしたけど、知らない。
私はまっすぐ昇降口に向かう。
「涼花さん」
階段を降りる途中で透真に腕を掴まれた。
「帰るなら一緒に帰ろう」
「やだ」
腕を振り払って階段を降りていくけど、昇降口に着いて私の足は止まった。
雨の中を歩いて行く気力がなかった。
「一緒に帰ろう?」
透真がそっと手を差し出してきた。
その通りだけど、実際に言われると本当に腹立たしい。
「でもね、最近はあんまり好きじゃないんだ」
透真は窓の外を見て、寂しそうに呟いた。
「どうして?」
意図せず私の言い方は嬉しそうだった。
透真と考え方が一緒になって、嬉しいのかもしれない。
透真は私を見て、自分の人差指を唇に当てた。
「ヒミツ」
これもまた腹立つ。
「言え」
その鬱憤を晴らすように、透真の肩を殴る。
そんなに力は入れていないけど、透真はわざとらしく痛がった。
「なんで雨が好きじゃなくなったの」
改めて聞いても、透真は目を逸らすばかりで答えてくれない。
「……もういい」
私は踵を返して教室に入る。
もう誰もいなくて、室内には雨音が響いている。
やっぱり雨の音は嫌いで、逃げるようにカバンを持って教室を出る。
その流れるような動きの間に透真に呼ばれたような気がしたけど、知らない。
私はまっすぐ昇降口に向かう。
「涼花さん」
階段を降りる途中で透真に腕を掴まれた。
「帰るなら一緒に帰ろう」
「やだ」
腕を振り払って階段を降りていくけど、昇降口に着いて私の足は止まった。
雨の中を歩いて行く気力がなかった。
「一緒に帰ろう?」
透真がそっと手を差し出してきた。