お願い、私を見つけないで 〜誰がお前を孕ませた?/何故君は僕から逃げた?〜

Side朝陽

「何だよ……これ……」

一路朔夜から聞いた話と、ところどころ内容がリンクしている部分がある。
別に一路朔夜の言ったことを、完全に信じているわけではない。
信じない方が、精神衛生上マシだと思えるような内容も多かったくらいだ。
だけど、一路朔夜が凪波を想う気持ちだけは、認めても良いと思っていた。
……俺の次、くらいには。
だから、凪波のこの考えが本当だとしたら……一路朔夜が知ったとしたら、一体どんな気持ちになるんだろうかと考えてしまった。

凪波が俺以外の男に抱かれて愛されたという事実よりも、凪波が男を利用していたという事実の方が、ずっとショックだった。

そんな凪波の一面を、俺は知らないから。
それは元々の凪波の気質だったのか。
それとも、東京で造られた新しい凪波だったのか。
どちらなのかすら俺には分からないほど、俺は凪波のことを知らされていないことが悲しかった。

なあ、凪波。
何でこんなことを日記なんかに残すんだよ。
せめて、知らないでいたら、俺はお前のことをもっと純粋に受け入れられたのに。

今はどんな顔をお前の顔を見るのが正しいのか、分からないよ。