音無くんは、今日も図書室で歌う


あたしに作ってくれた曲?
そう思ったけど、聴き覚えのある前奏に少し戸惑った。

これは、音無くんが作った最初の曲だ。

だからこれは、あたしの為に作った曲ではな……





転調した。


似た雰囲気。
だけどいつもと違うそのメロディーは、初めて聴くものに変わった。


じっと見ていると、チラリとあたしを見る音無くんと目が合う。


音無くんは少し微笑んで、歌い出した。


いつものあの曲に似ている。
だけどこれはまた別のもので……手元の歌詞に合うようにメロディーが作り替えられている。


これが

音無くんのつくった、あたしの曲。