「東雲くん、天宮さんにいろいろ教えてあげて下さいね」

……へぇ、東雲って言うのか。隣の席だし、覚えとこ。

にしてもあいつ、顔整ってんなぁ。女子にキャーキャー言われてるのが安易に想像できて、なんなら同情してしまう自分がいる。

切れ長の紫の目に片側だけかきあげられたオレンジの髪。座ってこそいるが頭1つ分背が高く、少し筋肉質なところがあると見た。

──逆に、こんな完璧でモテないやついるの?

まぁ性格が悪かったらわからないけど、流石に完全にモテないって訳じゃないだろう。

東雲には嫌われてるみたいだけど、他の人と仲良くすればいいや、という思いで自分の席に向かう。

私はお世辞にも愛想がいいとは言えないし、軽い自己紹介で済ませとこ。

「天宮梨花。改めてよろしく」

でも、東雲からの返事は帰ってこない。
少しばかり腹が立って、言い返そうとした時だった。

「……お前、俺の友達と同じ名前なんだけど」