席に着いて数分で注文していた料理が届いた。

 私が頼んだのはプレートセット。サラダに三種のデリ、スープにメイン料理のナスとキノコの味噌チーズ焼き、桃の酵素ドリンクだ。
 そして哉斗くんが選んだのがバターチキンカレーセットで、メインのトマトベースに煮込んだらしいカレーとサラダと二種のデリ、スープとドリンクだ。


『美味しそうだね』

『そうだね、じゃあ冷めないうちに食べようか』


 私はスマホのカメラアプリを開き料理の写真を撮ると手を合わせてスプーンを持って食べ始めた。食べているときは集中したいため一言も言葉は発しない。前は話をしていたが、食事を中断して手話をするのは大変だからと哉斗くんが言ってくれたのだ。
 そして食べ終わって、飲み物を飲み終えると哉斗くんとは“婚約パーティー”の話になる。

 婚約パーティーは名前の通り私と哉斗くんの婚約を発表する会だ。私は今までパーティーに参加したことがないので初めてのパーティーであり、私の顔を知ってもらうことも目的としている。


『パーティー、もうすぐだね。楽しみ?』

『うん、楽しみ。だけど初めてだから受け入れてもらえるのか不安……話すこと、できないし』

『大丈夫だよ。俺がいるし、そばにいてくれれば守るから』


 哉斗くんはそう言うと私の頭を撫で撫でしてくれて『海斗も来るらしいから、俺がいない時はアイツといて』と言ってくれて少しだけ不安が和らいだ。