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『……買すぎじゃない? それ』

 
 海斗くんがそう沙知ちゃんに言うと沙知ちゃんは『だって可愛かったし』と控えめに手話で伝える。


『それでも、買いすぎ。ホテル戻らないと行けなくない?』

『そうかな、でも……倉橋くん。美央の服も見たんだよ、可愛いやつ』


 今は自由時間。
 電車に乗り、栄駅の近くにある PANUKO(パヌコ)に私と沙知ちゃん、哉斗くんに海斗くんと一緒にやってきていて私は沙知ちゃんと服を一緒に買いに行ってきた。


『美央は何を着ても可愛いよ』

『外でもそう言うこと言わないでよ』


 恥ずかしくてそう手話で言うのに彼は、平気な顔をしている。確かに手話だから周りには聞こえないけど……でも、外で言われると恥ずかしすぎるんだよ。


『美央が可愛いから仕方ない』

『だから……っ』


 私は怒り半分、呆れ半分で哉斗くんから顔を背ける。