「あとは…そうだな、涼夏ちゃんの課題は笑顔だね!笑顔!」


「…店長にも言われました」


「あぁやっぱり?名前の通り涼しいもんねぇ、涼夏ちゃん」



ならいいじゃないですか、それで。

名前の通り生きれてるならすごいことじゃないですか?


そんな佐々木さんは「いらっしゃいませぇーー!」と、誰よりも大きな挨拶。



「このガムって美味しいの?」


「え、」


「必ずあるじゃん、コンビニのレジの横に」



レジ打ちにも慣れてきた頃。

19時を回った土曜日、アイスと炭酸ジュースを購入した男はふと問いかけてきた。


バイトリーダーである佐々木さんは今は事務所でパソコンを操作していて。

実質わたし1人で任されていた。


確か土曜日のこの時間はあまり客は来ないと、向かい側に新しく出来たコンビニを指差していたっけ…。



「…美味しいです」


「買ったことあるの?」


「…ないですけど」


「なにそれ適当じゃん」