階段から突き落とされたあと、保健室で。
まだこんなのイタズラだとか言った先輩は、乗りかかるように両手で首に力を込めてきた。
苦痛に顔を歪ませるわたしへと笑って、楽しそうにして。
最低だって心の底から思ったけど。
「死にたくないって、ただそれだけ思いました」
ただそれだけ。
でも、それがすべて。
「いじめられる私だって立派な加害者だって、先輩が言った意味…少し分かったような気がします」
あの言葉、本当はこれ以上ないくらいに胸に刺さってる。
それは「ひどい」とか、そういう意味じゃなくて。
自分でも考えたことのなかったような、知らなかった真実を突きつけられたみたいで。
「でもわたしは…残念ながら自分の守り方が分からないから」
「麻痺ってるもんね」
「はい。だから、耐えて我慢します。今はそれでいいです」
「でもそれ、いつか壊れるよ?」
この人がどうしてわたしなんかに声かけてきたの、とか。
なにか他に理由があるの、とか。



