とある先輩の、歪んだ狂愛。





肩に顔を埋めるようにポスッと密着。

倒れ込んでくるみたいに、そんな先輩の身体を支えるわたしの足は震える。



「せん、ぱい………何事ですか」


「…年取るとあとからくるよ、疲れが」


「…それ言うのあと30年は先ですよ」



バランスを崩した、少し足を踏み外した、そんな言い分でこの体勢が許される…?


先輩の熱い息が首筋にかかる。

ぐいっと押し戻そうとしてもびくともしない。



「…死にたい、とかさ。考えたことある?」


「───…え。」


「毎日毎日嫌がらせ受けて、みんなに気つかってさ。もう嫌にならない?」



ぜんぶどうでもよくなって、ぜんぶ辞めてしまいたくなって。

逃げてしまえたらどんなに楽だろうって。

そう考えたことは無いと言えば嘘になるけど。


でも、それがイコール「死にたい」に繋がったことはなかった。



「…先輩に…首、絞められたとき…」


「…うん」


「わたし、生きたいって、思いました」