わたしはそんなつもりない。
ただ感情表現が人より下手なのは認める。
いじめられて過ごす毎日だからこそヘラヘラ笑うわけにもいかず、そんなことも出来ず。
「いじめられっ子がアンカー。たぶんかなりの反感買うだろうけど、たとえビリでも走り抜けよ」
先輩っていつも急な命令口調になるときがあって。
そんなふうに言われると、「無理です」「嫌です」なんて言えなくなる。
「…頑張ります」
「ん、じゃあ次バトンパス」
それから、ふたりだけの練習。
トイレットペーパーの芯を渡して渡されて。
それを考えてるとちょっとだけ可笑しくて。
「先輩、お腹…空いてません?」
空は夕暮れ。
部活動をしている生徒たちも帰宅準備をする時間。
タイヤに座ったわたしは、スクールバッグからお弁当箱を差し出した。
「…お母さんが先輩にって」
「…今日?」
「はい。お昼休み…いつものところに来るかなって思ってたんですけど」



