「こんな場所あったんですか…」
「あーここ、俺たちしか知らない秘密基地」
その「俺たち」は、わたしと先輩ではなくて。
彼がいつもつるんでいる3年生のボス的な人たちのことを指してるんだろう。
周りは木に囲まれた空き地のような場所。
ある程度の広さがある土の地面、端には積み重ねられたタイヤが幾つかあって。
そのタイヤを椅子にするみたいに、慣れた動作で座る先輩。
「ふたりで練習しようって約束、いま思い出してさ」
……いや、約束はしてない。
あれは先輩が勝手に言ってただけで。
先輩がいつもより違う意味でおかしかった日だ。
あの日借りたジャージも綺麗に洗って返した。
「でもバトンは…」
「これ」
先輩はジャージのポケットからあるものを取り出した。
それは誰だって見覚えのあるもの。
白くて筒状になっていて、短くて軽くて、紙で出来ている…、
「…トイレットペーパーの芯」
「そ。バトン借りるってなると何時までに返却しろだとか色々面倒だし」



