「このあとひま?」
「…忙しいです」
「バイト?」
「……はい」
なんて嘘はどうやら見破られてしまったらしく。
先輩曰く、「土日バイト入れてるヤツは金曜日は入れない」とのことで。
もちろん正解だ。
なんかもう、ほんとうに厄介な先輩だ。
「付き合ってよ、俺の暇つぶしに」
「嫌です」
「拒否るなら噛むよ」
………は?
噛む?
噛むって、なに…?
わたしはあなたがいつも購入するガムじゃないんですけど。
「ん、じゃあ行こ」
わたしの無言を肯定と受け取った先輩は、スタスタと教室を出て行ってしまう。
スクールバッグと学級日誌を持って追いかけて。
途中に通り過ぎた職員室へ日誌だけ届けて、再び追いかける。
「どーせ、仲間外れされて練習なんかできてないんでしょ?」
そこはグラウンドでも体育館でもなく。
人目もなく生徒も通らない、そもそもわたしだって初めて来た校舎裏にある───裏山。



