いじめられる理由、その2。
まったく…。
もっと可愛い言い方したらどーなの。
「せめて送ってあげてるんだよ。麻痺してるからって襲われても知らないよ?」
「……大丈夫なんで、本当に」
「頑なに断るね。なんか理由でも?」
別にどんな家庭像を見たって俺は驚かないし。
人には誰だってそういうの抱えてるもんだし。
そんなに嫌なら家までとは言わない。
「…うち、ここです」
結局、アパートの前まで来た俺。
まぁ家族構成を聞かなくとも何となく察してしまえる。
もし両親揃ってるなら、中高一貫校に通っておいてアパートは珍しい。
普通はマンションとかだ。
「どうもありがとうございました」
「まぁ財布のお礼ってことで───」
「あら涼夏!グッドタイミングじゃない!!」
そんなとき、近所迷惑並みの音量で俺たちの元に駆け寄ってくる1人の女性。
中年くらいの歳の頃だと思うけど、わりと若くも見える。
それでいて誰かさんにそっくり。



