その先輩の言葉の意味が分からないまま、とりあえず泣き止むことに必死。
ひっくひっくと漏らしては拭っての繰り返し。
その間、ずっと先輩はわたしを見つめてくれていたことだって。
なんかもう…いろいろ歪んでしまう。
「トイレットペーパーの芯とビー玉…持ってたでしょ」
「…はい」
「なんで持ってたの?…あんなガラクタ」
女子トイレに散らばっていたそれを、わたしはがむしゃらに集めてバッグに詰めた。
わたしを襲った生徒にも似たようなことを言われたっけ。
馬鹿にされて笑われて、でも捨てられなくてよかったって今もホッとしてる。
「…ねぇ、なんで?」
そして先輩はコツンと、おでこ同士をくっ付けるようにもたれ掛かってきた。
「…わたしの…宝物だから…」
「宝物?」
「はい。いちばん、大事なものです。…ガラクタなんかじゃありません」
先輩にもそう見えていたとしても。
そのふたつはわたしの大切な宝物。
先輩との思い出だって同じ。



