「───…なに…やってんだよ……!!!」


「っ…!」



ぐいっと腕が力強く引っ張られて。

ぐらっとうしろに倒れて、トサッと背中から地面へと落ちる。


目の前に広がる青空。

背中に痛みはなくて、どうやら一緒に倒れるようにして支えてくれたらしい。



「…空、見たかっただけです」


「……空…?そんなの、ここじゃなくても見れるでしょ」


「綺麗だったから、空…飛べるくらい」


「飛べるわけないじゃん。人間に羽は付いてないんだよ」



苦しい…。


わたしは、あなたが思っているようなことをしようとしてたわけじゃない。

ただ本当に真っ青な空を掴んでみたくなって、もしかしたら飛べるんじゃないかって。


そんなシミュレーションを脳内でしてただけ。



「困るんだよ、居なくなられると。何事もなかったように接せられると……困るんだよ」



そんなにキツく抱きしめなくてもいいのに……先輩。


わたし潰れます。

完全にぺしゃんこになってしまう。



「…死なないんでしょ、涼夏は。お前は───…彩じゃないって言ってたじゃん」