「…ふふっ、」
そんな先輩の顔がマヌケで、あんぽんたんで。
どこか面白くて吹き出してしまった。
「……笑ってんじゃん」
「…笑ってないです」
「そこで意地張る意味ってまったく無いから」
だって先輩が変な顔してるから。
整った顔の人がする変な顔って、どこかシュールで面白い。
そんな顔がわたしにゆっくり近づいてくる。
尖った唇がふたつ。
「っ、」
「…あれ、今日は避けないね」
その先まではいかず、ピタリと止まった。
…どうして避けなかったのわたし。
そのままにしてたら、危うくキスされてしまってたところだったのに。
前はあんなにも力づくで阻止してたというのに。
「顔、真っ赤だし」
そんなわけない。
そんなはずない。
窓ガラスに映った茹でダコみたいな姿はわたしなんかじゃないって、暗示をかけて。
「あ、また照れた」
どうやらその癖は認めるしかなさそうだった。
先輩とは友達じゃない。
だとしても単なる先輩と後輩でもない。
わたし達の関係はなんだろう?なんて、聞くことだって出来ない。



