そんな情報わざわざ言わなくていいよ、お母さん。

そもそもわたしだって知らなかった癖だ。



「そうなんですか?小さいときから?」


「えぇ小さいときから。その顔がね、周りには怒ってるって見られちゃうけど…本当は照れてる顔なのよ」


「ははっ、…涼夏らしいですね」



先輩なんか、わたしを小馬鹿にするようにからかうように真似して尖らせてるし。

ぷいっと逸らして隠すようにお肉を口に運べば、クスクスと聞こえる2人の笑い声。


どこか……恥ずかしい。



「あら電話!遠慮なく食べてね高槻くん」


「はい」



玄関先の呼び出し音に、お母さんは駆け足で立ち上がった。


遠慮なく食べてって……。

先輩が買ってきてくれたお肉なのに…。


あ、お母さんの長話が始まってる。
これはもう当分食卓には戻ってきそうにない。



「ぜんぶ食べていいですよ先輩」


「前から思ったけど、涼夏ってお母さんに対してもクールだよね」



2人は親子っていうより姉妹に見える───と、スッと立ち上がった先輩。

取り皿と箸を持ってわたしの隣にストンと座った。